Dear Deer Dinner

 
2008

43 x 12 x 26 in.
taxidermy deer, steel, mixed media

W: 109 D: 32 H: 72(cm)
鹿の剥製、鉄、ミクストメディア
A dinner table for the extraordinarily extravagant woman Dear Deer Dinner is a piece that substitutes the reproduction of the beautifully curved lines of animals with the extraction of the beautifully curved lines of the animal itself.
Through this, is the fake (reproduction) sublimated into the real (extraction)? Or, if ”furniture” is taken as the premise, is this a counterfeit ”fake”?
Then, why is what is supposed to be a fake more expensive than the original?
Her Extravagance on the table

 昔から動物の持つ曲線美を家具の意匠に取り入れることは一般的だった。例えばネコ脚(ガブリオール・レッグ)の家具などは18世紀に一世を風靡したロココ様式を経て、アンピール様式、アール・ヌーヴォー様式へとその遺伝子を残していく。もともとこの頃の動物からの引用というものはロココ様式では当時権力を持っていた女性に好まれる優雅で繊細なもの、アンピール様式ではナポレオンの好む力強さや権力を示す大袈裟な装飾として、そして19世紀末に流行したアール・ヌーヴォー様式は生活水準の向上によって大衆の間で好まれたものであったりと、意味合いを変化させ文化の様式として息づいてきた。そしてそれはモダニズムを経てより細分化されていく。
 Dear Deer Dinnerは(動物のもつ形態の)模写という行為から(動物のもつ形態そのものを)抽出という行為へと代替した。これはフェイク(模写)からリアル(抽出)へと昇華させたものなのか?もしくは家具が前提であるという視点から見れば、これはまがいもの「フェイク」であるのか?では何故フェイクであるはずのものが元となったものよりも高価であるのか?また形態模写からはじまったはずの家具も様式と名がつけばそれ自身が本物「リアル」へとすり替わる。このようにフェイクは時間と共にリアルを獲得していく場合もある。何がリアルであり何がフェイクであるか、非常に難しい問題のように僕には思える。